高齢期の睡眠リズム
人は歳を重ねると、体内時計に加齢による変化がみられ、血圧や体温、ホルモンなどのリズムを維持、調整する働きが低下します。
それに加え、生活スタイルの変化も体内リズムに影響を与えます。
加齢による睡眠リズムの変化を知り、QOL(Quality Of Life:人生・生活の質)を上げていく方法をみていきましょう。
【多い悩み、不眠症】
高齢期の方の多くが訴えるのが「不眠」です。
熟睡感がなくて辛い、日中に強い眠気を感じる、体がダルいなどの症状を訴える方は、60歳代以降で割合が増えていき、80歳代では3人に1人が不眠を訴えています。
【高齢者の睡眠の特徴】
高齢者の睡眠の特徴は以下のものがあります。
- 寝付くまでに時間がかかる入眠困難
- 眠りが浅く、熟睡感の低下
- 昼間にウトウトするなど細切れの睡眠が増加
- 朝早くに目が覚める早朝覚醒
【加齢による睡眠リズムの変化】
加齢により深い眠りの割合が減り、浅い眠りの割合が増えると言われています。
その理由としては
- 眠りを誘うホルモン「メラトニン」の分泌量が減る
- 退職などに伴って日常生活の活動量が減少し昼夜の生活にメリハリが無くなる
- 退職や死別、独居などによる心理的ストレス
- 病気やそれに伴う薬の副作用
- 高齢期は体温が早い時間に低下するため、夜早く眠くなり、朝早くに目覚めるリズムに変化する
【不眠を解消するには・・・】
- 眠れないと思うと、少しでも長い時間眠ろうとして早めに就寝してしまいがちです。 しかし、十分な眠気が起こらない状態で寝始めると、かえって睡眠が浅くなり、途中で目が覚めやすくなります。そんな時は、いつもより1時間程度、就寝時刻を遅らせてみるなどし、自分に合った就寝時刻と起床時刻を見つけましょう。
- 眠れないと、布団の中で本を読む、ラジオを聴く、テレビ・スマホを見るなど、脳を覚醒させるような行動をしてしまいがちです。 布団に入って20分以上眠れない場合は、思い切って一度布団から離れてみましょう。 寝室は眠るだけの場所という決まりを作ることが大切です。
- 寝酒・喫煙はしていないか、入浴は就寝の1時間前には済ましているかなど、眠りを妨げる生活習慣も見直してみましょう。
- 夜眠れない分を昼寝で解消するというのは本末転倒です。 昼寝をするのであれば30分以内を目安にしましょう。
●就寝時刻と起床時刻を見直そう
●寝室は寝るだけの場所にしよう
●就寝前の行動にも注意しよう
●昼寝を見直そう
【認知症になると眠れなくなる】
認知症の患者は、健康な高齢者に比べて体温のリズムやホルモンのリズムが不規則になり、昼夜の差があいまいになる傾向があります。
そのため俳徊行動をしたり、興奮したりするなど、認知症特有の症状が起こります。
特にアルツハイマー型認知症では、脳の視交叉上核という場所の細胞が死滅していき、体内時計そのものが壊れた状態になります。
そのため、昼夜なく覚醒や睡眠を繰り返すといった睡眠リズムの変化が起こります。
また施設への入所や自宅での療養に伴い、社会的にも身体的にも活動量が低下してしまいます。
こういった面からも、必要な睡眠時間が少なくなり、眠れない、夜中に目覚める、眠りの質が低下するなどの状態に拍車がかかります。
少しでも改善するには、日中は室外で日光浴をしたり、明るい部屋で過ごす、デイケアへの参加などで日中の活動量を上げたりするなど、生活にメリハリをつけましょう。
即効性はありませんが、根気強く続けることが大切です。
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